ピロリ菌(ヘリコバクタ―ピロリ菌)の検査・除去

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは胃の粘膜にすむ、らせん状の細菌です。
通常、細菌は胃の粘膜で生存することはできませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を出して周囲にアルカリ性のアンモニアを作り、胃酸を中和することで存在しています。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)の感染は慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、持続感染することで胃がんリスクを著しく高めるとされています。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)感染により胃がんのリスクは約9倍、これに萎縮性胃炎が加わると約18倍のリスクになると言われていますので、ピロリ菌の感染が認められた場合には、胃がん予防のために除菌治療を受けることが重要となります。

どこから感染するの?

どのような経路でピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)が感染するのかはっきりわかっていませんが、上下水道が十分に整備されていなかった時代の生水摂取が主な感染経路と言われています。
そのため、ご高齢の方の感染率は約80%と高く、反対に若い世代では感染率が低くなっています。
ただし、経口感染する可能性もあると言われていて、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの家族歴がある方は、若い世代であっても感染している可能性があります。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)はキスでうつる?!

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)はキスでうつる?!ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)がキスでうつる可能性があります。しかし、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)に感染するには、免疫が未発達なお子さんに多いとされているため、子供のころの知らない間にピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)を口にして感染している場合があります。成人すると免疫が発達しているため、他人とキスをしてもピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)がうつる可能性は極めて低いです。

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)が引き起こす病気

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)に感染することで次のような病気を引き起こす場合があります。

胃がん

ピロリ菌の持続感染は、胃がんリスクを高めることがわかっています。
WHO(世界保健機関)もピロリ菌を「確実な発がん因子」として認めています。
そのため、ピロリ菌の積極的な除菌は胃がんの予防に一定の効果を発揮すると言われています。

ただし、一度ピロリ菌に感染すると、除菌治療を受けた後も胃がんリスクが下がるわけではなく、依然としてリスクは残りますので、除菌治療後も定期的に胃カメラ検査を受けて経過観察することが大事です。
胃がんは早期発見すれば治癒させることが可能ながんと言われていて、初期の胃がんであればお体への負担が少ない方法で治療することができます。

慢性胃炎

慢性胃炎のほとんどはピロリ菌の感染が原因と言われています。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍もほとんどが、ピロリ菌感染が原因で起こります。
重症化すると穿孔ができ、入院治療や手術が必要になることもあります。

その他の病気

その他、ピロリ菌感染により次のような病気が起こる場合があります。

  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 過形成ポリープ

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)の検査法

ピロリ菌の感染を調べる方法として、大きく胃カメラ(胃内視鏡)を使用する方法と、胃カメラを使用しない方法があります。
それぞれの検査内容は次の通りです。

胃カメラ(胃内視鏡)検査を用いたピロリ菌検査

①迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌が産生するウレアーゼという酵素を使って、感染の有無を確認します。

②鏡検法

胃の粘膜の組織を採取し、染色した後、顕微鏡を使って感染の有無を確認します。

③培養法

採取した胃の粘膜の組織を培養して、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。

胃カメラ(胃内視鏡検査)を使用しないピロリ菌検査(自費)

①尿素呼気試験

検査薬を使って感染の有無を確認する方法で、服用前後の呼気を採取して感染しているかどうか調べます。

②抗体測定

採血や採尿により感染の有無を確認します

③便中抗原測定

検便により感染の有無を確認します。

費用
内容 費用(税込)
血清抗体測定
(検査料、判断料、検体検査管理料および採血採取)
3,000円

便中抗原検査
(検査料、判断料、管理料)
3,500円

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)の除去法

ピロリ菌への感染が確認された場合、次のような流れで除菌治療を行います。

 一次除菌(保険適用)

2種類の抗生剤と、胃酸の発生を抑えるお薬を1日2回・一週間服用し続けます。
治療後、2ヶ月程度あけて、除菌に成功したかどうか検査します。
約75~90%の方が1回目の治療で除菌に成功しています。

二次除菌(保険適用)

一次除菌が不成功となった場合、抗生剤の種類を変えて二次除菌を行います。
服用ペースは一次除菌と同じで、治療後、2ヶ月程度あけて、除菌に成功したかどうか検査します。
約90%の方が、二次除菌で除菌に成功しています。

三次除菌(※保険適用外)

二次除菌でも除菌が不成功だった場合、三次除菌を検討します。
三次除菌からは保険適用外(自費診療)となります。
当院では実施していません。

ピロリ菌治療の注意点や副作用

ピロリ菌の除菌治療では、次のような副作用が起こる場合があります。

  • 強い腹痛
  • 下痢
  • 発熱
  • 便の緩み
  • 発疹など

このような症状が現れた場合、お薬を飲むのをやめて、すぐに当院へご連絡ください。

除菌治療後も胃カメラ検査を受けるようにしましょう

除菌に成功したかどうかの確認が必要です

ピロリ菌の除菌治療は必ず成功するというわけではなく、除菌治療後、ピロリ菌の感染がなくなったかどうかの評価が必要です。
除菌治療を受けてそれで満足し、除菌に成功したかどうかの検査を受けずにそのままにされる方がおられますので、必ず検査を受けるようにしてください。

除菌治療後も定期的な胃カメラ検査は必要です

除菌治療に成功したら、通院は必要ないかと言えば、そうではありません。
除菌治療後も定期的な胃カメラ検査は必要となります。
ピロリ菌に感染している間に形成された慢性胃炎の変化は残り、そこから一定の割合で胃がんが発生する恐れがあるため、年1回のペースで経過観察する必要があります。
「除菌治療に成功した」と安心せずに、定期的に胃カメラ検査を受けるようにしてください。

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