肝臓・胆のう・膵臓の病気

肝臓の病気

肝臓の働きとは

肝臓は様々な働きを担っており、わかっているだけでも500以上の機能があります。そのうち、特に人間の活動に欠かせない働きが次の4つとなります。

1. 代謝

摂取した栄養素を身体でつかえる形に変えたり、貯蔵して必要時に送り出す働きです。

2. 分解・解毒

アルコール、ニコチン、乳酸といった身体によくない働きをする物質や薬剤などを分解して、無毒化する働きです。

3. 胆汁の合成

胆汁という消化液を合成する働きです。

4. 免疫機能

ウイルスに感染した細胞や、古い細胞を処理する働きです。

肝臓の病気の種類

主な肝臓の病気として次のようなものがあります。

脂肪肝
脂肪肝(脂肪性肝障害)

たくさんの中性脂肪が肝臓に蓄積した状態です。過食、運動不足、過度の飲酒が原因となります。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) 単純性脂肪肝
飲酒の習慣がない方にも脂肪肝は起こる場合があり、これを「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と言います。生活習慣病などに関連して起こると考えられています。

アルコール性脂肪肝
過度な飲酒により肝臓に脂肪が蓄積した状態です。

肝炎

ウイルス感染や過度な飲酒、肥満、過労などにより、肝臓の細胞が破壊され炎症が起こった状態です。

アルコール性脂肪性肝炎(ASH)

過度な飲酒によって起こる肝炎です。肝炎が長期化すると肝硬変へ進行する恐れがあります。

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

過度な飲酒、またウイルス感染以外が原因で起こる肝炎で、生活習慣病や肥満に関連して起こるのが一般的です。

薬剤性肝炎

薬の影響によって起こる肝炎です。

A型肝炎

A型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝炎です。
A型肝炎に汚染された水や食物(カキなど)を飲食することや感染している人の唾液から感染することが多いです。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝炎で、主な感染経路は血液感染、または性感染です。

C型肝炎

C型肝炎ウイルスに感染することで起こる肝炎で、主な感染経路は血液感染です。

肝硬変

肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、科栄養、自己免疫などで起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいいます。肝臓に流れ込む血管の一つに腸から栄養を運んだり、脾臓や胃などの臓器から血液を運ぶ門脈という血管があります。肝硬変では、肝臓のなかを血液がスムーズに流れなくなり、門脈の流れが滞ります。その結果、食道や胃の周りに静脈瘤を形成し、これが破れると吐血や下血を生じます。また、すべての肝細胞機能が低下するため、タンパク合成障害・血液凝固障害・アンモニアやビリルビンの蓄積を生じ、腹水・肝性脳症・黄疸・出血傾向など生命を脅かす危険な状態となります。

肝臓がん

肝臓で発生するがんです。肝臓がんには「原発性」と「転移性」があり、一般的には肝臓がんといわれているものは、もともと肝臓から発生した原発性の肝臓がんです。肝臓がんはさらに、肝臓を構成する肝細胞から発生する「肝細胞癌」と肝臓内の胆管の細胞から発生する「肝内胆管がん(胆管細胞がん)」に分類されます。
肝臓がんのうち、95%が肝細胞がんです。肝細胞がんの主な発生原因は「B型肝炎ウイルス」、「C型肝炎ウイルス」です。
近年、肝炎ウイルスがないのにもかかわらず肝臓がんを発症しているケースが増えてきています。アルコールやメタボリックシンドロームによる脂肪肝が肝臓がんを引き起こしている可能性が指摘されています。

その他の肝臓の病気
黄疸

血液中のビリルビンが増加して、皮膚や目が黄色くなる状態です。ビリルビンは、古くなった赤血球を破壊する時にでる黄色い色素のことで、血液から肝臓に運ばれて胆汁の成分になります。その後は十二指腸や小腸を循環して、最終的に尿や便として排出されます。黄疸は、赤血球の破壊亢進、肝臓の障害(ウイルス、アルコールや薬剤性の急性肝炎や肝硬変の末期)、胆道閉塞(胆道の結石や腫瘍(がん))などの時に起こります。

自己免疫性肝炎

体の免疫系が肝細胞を攻撃するために生じる肝炎です。(指定難病)

原発性胆汁性胆管炎

体内で作られた自己抗体(自分の体を攻撃する物質)が肝内胆管(肝臓内で胆汁を運ぶ管)に炎症を起こして、肝臓の機能を徐々に低下させる病期です。(指定難病)

胆道の病気

胆道とは

胆のう 胆道胆道とは、肝臓から分泌された胆汁の通り道で、「肝外胆管」「胆嚢」「十二指腸乳頭部」を指します。
胆管は、肝臓から十二指腸まで胆汁の通る管のことです。
胆嚢(たんのう)は、肝臓で合成された胆汁を一時的に溜めておく場所で、西洋梨のような形をしています。
十二指腸乳頭部は、胆管が十二指腸に開口する部分で、括約筋が存在し胆汁の流れを調節しています。

胆汁とは

胆汁とは、肝臓で生成される黄褐色でアルカリ性の液体です。胆汁には、胆汁酸という脂肪を乳化して細かい粒にして消化しやすくする働きがあります。

胆道の病気の種類

胆のう炎(急性・慢性)

胆嚢に炎症が起きる病気です。

症状

腹痛、吐き気・嘔吐、寒気、発熱、黄疸などの症状が現れます。

原因

急性胆嚢炎の多くは胆石によって胆汁の流れが滞り、そこに細菌感染が起こることで発症します。急性胆嚢炎が続くと慢性胆嚢炎となり痛みの発作を繰り返します。

検査・治療

血液検査、腹部超音波検査(腹部エコー)などの画像診断を実施し、軽症であれば、抗菌薬と鎮痛剤を使用して症状の改善をはかります。血液検査で炎症所見が高い場合やエコーで胆嚢が緊満(パンパンに腫れている状態)や壁肥厚を認めた場合には、胆嚢ドレナージ(胆嚢内の化膿した胆汁を除去する処置)や緊急手術が必要になるケースもあり、この場合には処置可能な病院へ救急でご紹介します。

急性胆管炎

肝臓と十二指腸の間にある胆汁の通り道を胆道といい、その間の管を胆管といいます。急性胆管炎の多くは、何らかの要因で胆管が閉塞し胆汁の流れが滞り、胆管内部の圧力が高まることで起こります。また、胆汁に細菌が感染することも原因となります

症状

悪寒をともなう発熱・黄疸・右上腹部痛などの症状が現れます。

原因

胆管にできた結石、何らかの良性病変による胆管狭窄、胆管手術後の狭窄、悪性腫瘍など

検査・治療

緊急で胆道ドレナージ(感染した胆汁を体外に除去すること)を要する場合が多く、血液検査・腹部エコー検査などで速やかに診断をつけ、処置可能な病院へ救急でご紹介します。

胆石症

肝臓から分泌される、胆汁の成分が固まって胆嚢内・胆管内に溜まったもの(結石)である。

症状

胆石保有者の80%は無症状です。これに炎症(胆嚢炎や胆管炎)が加わると、腹痛・嘔吐・発熱・黄疸などの症状が生じてきます。

原因

胆嚢収縮能の低下と胆汁中のコレステロール上昇が胆石の形成に関係しています。

検査・治療

腹部超音波検査(腹部エコー)などの画像検査を行い、明らかな症状がない場合には経過を観察します。胆嚢炎の症状を生じた場合には手術などのご相談をさせていただきます。

胆道がん(胆管がん・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)

肝外胆管・胆嚢および十二指腸乳頭(胆管の出口)部に発生する悪性腫瘍で、消化器がんのうちで治療が困難なものの1つとされています。

症状

初期にはほとんど自覚症状がありません。進行すると黄疸、右わき腹の痛み、体重減少などを生じます。

原因

原因は明らかになっていませんが、胆道での慢性的な炎症・刺激などが原因と考えられています。

検査・治療

腹部超音波検査(腹部エコー)や血液検査などで速やかに診断し、治療可能な病院へご紹介します。

膵臓の病気

膵臓とは

膵臓は、胃の背中側に位置し、十二指腸に取り囲まれた臓器です。主な役割を2つ持っています。
1つは「膵液」という消化液を分泌することです。血液の外に放出するため「外分泌」といいます。
もう1つは、血糖値を一定濃度にコントロールするホルモンを分泌することです。血液の中に放出するため「内分泌」といいます。

膵液とは

膵液は、摂取した食事のタンパク質・炭水化物・脂肪などの分解するさまざまな消化酵素を含んでいます。

膵臓の病気

急性膵炎

膵臓内で活性化された酵素(消化液)が膵臓自身を溶かしてしまう状態。お腹全体に拡がってしまうと、つぎつぎと内臓を溶かしてしまう、いわゆる「お腹のやけど」です。

症状

持続的な上腹部痛・背部痛、発熱、悪心、嘔吐など
重篤化するとショックや多臓器不全となり、生命に危険がおよびます。

原因

男性の場合:過度のアルコール飲酒が多い
女性の場合:胆石が多い

検査

血液検査:膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)上昇、白血球・CRP値など炎症反応上昇、肝機能障害など
超音波検査:膵臓腫大、周囲に腹水貯留など

治療

絶食と抗菌薬などを含む点滴加療が必要。重篤化すると、手術治療を含めた集中治療が必要となります。よって、診断がつき次第速やかに、ICUなど集中治療に対応可能な病院へ紹介します。

慢性膵炎

膵液が膵臓を溶かす自己消化が長い時間をかけて起こる病気です。
その結果、膵臓の組織の線維化、膵管内に膵石を生じ、進んでいくと膵臓全体が硬くなり萎縮します。

症状

初期:上腹部痛、背部痛、嘔気・嘔吐などを生じます。
後期:腹痛は軽減しますが、下痢・脂肪便、体重減少、糖尿病の発症が生じてきます。
初期から後期への移行期間は、通常5-10年です。

原因

一番の原因はアルコール多飲。喫煙も増悪因子といわれています。

検査

血液検査:定期的に栄養状態や血糖値を調べます。
腹部超音波検査(腹部エコー):膵臓の線維化や萎縮の程度、膵石や膵嚢胞の有無を調べます。

治療

禁酒・禁煙による生活指導、食事療法(低脂肪食)、薬物療法(腹痛を抑える薬や消化剤など)膵石や膵嚢胞を合併した場合には、専門の病院へ紹介します。

膵嚢胞性疾患

膵嚢胞性疾患は、膵臓にできる嚢胞(ふくろ状の)形態をとる腫瘍の総称です。治療の必要のない良性の腫瘍や炎症性疾患もあれば、悪性リスクのある腫瘍もあり、いくつかの異なった疾患をまとめたものをいいます。

症状

70~80%の方が無症状で、検診時に偶然発見されることが多いです。

代表的な膵嚢胞性疾患

【良性疾患】

  • 仮性膵嚢胞
  • 漿液性嚢胞性腫瘍(SCN)

【悪性リスクのある腫瘍】

  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
  • 粘液産生性膵腫瘍(MCN)
  • 膵神経内分泌腫瘍(P-NET)
  • Solid psudopapillary neoplasm(SPN)
検査・治療

腹部超音波検査で膵嚢胞性疾患をみとめた場合、他施設でCT検査を依頼します。良性疾患であれば経過観察しますが、悪性リスクのある腫瘍の場合、専門の病院へ紹介し治療方針を決めていただきます。

膵臓がん

膵臓に発生する悪性腫瘍で、特徴的な症状に乏しく、早期発見が難しい疾患です。加えて、進行が早く、症状が出た際には、かなり進行している場合が多いため、生命予後は極めて不良です。

症状

初期にはほとんど自覚症状はありません。進行すると腹痛、腰背部痛、食欲不振、体重減少、黄疸などの症状が現れます。糖尿病の急な発症や血糖コントロール不良を認めた際に、膵がんを認める場合があります。

原因

肥満、糖尿病、大量飲酒、喫煙、慢性膵炎、膵嚢胞、遺伝などが危険因子として挙げられます。

検査

腹部超音波検査
造影CT
MRCP/ERCP

治療

手術療法、化学療法(抗がん剤)、化学放射線療法(化学療法に放射線治療を加えたもの)などがあります。膵腫瘍を診断した際には、速やかに専門の病院へ紹介し治療方針を決めていただきます。

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